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モラハラについて ③

モラハラを受けたので、慰謝料を請求したいというご相談を受けることがあります。

確かに、モラハラは他人を傷つける行為ですので、法律上の不法行為になり得る行為です。

しかし、モラハラを原因として慰謝料が払われる例は、実際はかなりレアケースです。

理由は、① 証明が難しく、② 相手が自ら慰謝料を払うことがほとんどないからです。

 

① については、日々のモラハラ的な言動を、客観的に証明するのはかなり難しいです。

具体的に主張しても、相手からは、予測をはるかに超える反撃(反論)がなされることも珍しくありません。

相手の反論のすべてが嘘だとしても、第三者である裁判官から見ると、どちらかの言い分だけを事実として認めることができないことがほとんどです。

 

②については、相手が「モラハラをしたので慰謝料を払う」と言ってくれることは、まずありません。

モラハラをする人は、自分の言動が正しいと思っている人がほとんどです。

なので、慰謝料を払わせるには話し合いや調停では難しく、離婚訴訟で慰謝料を勝ち取るしかありません。

ほとんどの方は、認められるかどうか分からない慰謝料を求めて訴訟するよりも、話し合いや調停で早く解決することを選びますので、モラハラの慰謝料が問題になること自体も少ないのが現実です。

したがって、モラハラを受けたからといって、慰謝料が払われる、ということにはならないことが多いと感じます。

 

ただ、離婚問題は、本当に様々ですので、実際は具体的な事情次第です。

また、担当する裁判官次第で、慰謝料の可否、金額が変わることもあります。

 


モラハラについて ②

「夫(妻)の言動はモラハラですか?」という質問を受けることがあります。

「モラルハラスメント(モラハラ)」は法律用語ではないため、どこまでいけばモラハラに該当するかということは、はっきりしていません。

問題なのは、相手の言動が「モラハラ」かどうかではなく、相手から「モラハラを受けている」と感じたり、結婚生活に辛さを感じることです。

 

「もう少し我慢すべきと思うけど」等とおっしゃる方も少なくありません。

結果的に、経済的な面を優先して離婚を先延ばしにすることを選択せざるを得ない場合もあると思います。

でも、結婚生活は、我慢したり、がんばって継続するようなものではないはずです。

 

モラハラをする人は、絶対的に自分が正しいという前提で話をするため、モラハラを受ける側は、自分が悪いのでは?と感じてしまう傾向があります。

自分の心に生まれた疑問やマイナスの感情を無視せず、しっかり向き合うことが大切です。

夫婦関係に疑問を感じたら、まずは信頼できる友人や親類に相談して、客観的な意見を聞いてみるのもひとつです。

 

真面目な方ほど、辛さを心に秘めていたり、離婚をあきらめている方が多いようです。

どうか、一人で悩まず、相談してみてください。

離婚だけが選択肢ではなく、まずは別居するという方法もあります。

 


モラハラについて ①

モラルハラスメントと検索すると、「言葉や態度などで相手の尊厳を傷つけ、精神的に苦痛を与える嫌がらせ行為」等との説明があります。

夫婦間でも問題になることが多く、夫や妻による言動に苦しんでいる方は少なくありません。

中には、ギリギリまで耐えた結果、体調を崩していたり、心療内科に通っている方もいらっしゃいます。

体調を崩してしまうまで我慢する理由は、離婚という選択肢自体を思いつかないことや、離婚に対するハードルが高いこと、離婚に対するマイナスイメージなどがあるようです。

 

結婚は、我慢して続けるべきものではないと思います。

もし、結婚が負担であれば、離婚を選択することは間違いではありません。

ただ、弁護士が「離婚した方がいいですよ」などと気軽に言うことはできません。

離婚するかどうかを決めることができるのはご自身です。

 

問題は、「不倫も暴力もないから、離婚なんかできない」「離婚してもお金は一切渡さない」等と言われて、あきらめている方がいることです。

決してそんなことはありません。

結婚生活に幸せを感じられない方、苦しいと感じている方は、どうか、我慢しすぎないで、早めに相談してみてください。

結婚生活に限界を感じる場合は、離婚という選択肢があること、他にも生きる道があることを心に留めておくことは大切だと思います。

 


離婚について

離婚という言葉は、一般的にはマイナスのイメージのほうが強いかもしれません。

確かに、離婚の話し合いは、楽しいものではないでしょうし、決めなければならないことも多く、離婚後の生活に不安を感じることも多いはずです。

離婚という言葉に抵抗を感じたり、人の目が気になってしまうこともあるかもしれません。

離婚を決断することに、罪悪感を感じることもあるようです。

離婚したいという希望を持ちつつも、自分の我慢が足りないのでは?と悩んでいる方もいます。 

 

でも、人は、誰でも幸せになる権利があります。

離婚を選ぶということは、今よりも幸せになるために、勇気をもってハードルを越えることとも言えると思います。

 

弁護士が、離婚を薦めることはありません。

離婚するかどうかを判断できるのはご本人だけです。

ただ、結婚生活の中で幸せを感じることができなくなった時に、離婚という選択肢があることを知っておくことは大切だと思います。

離婚という選択肢があると考えるだけで、心に余裕が生まれて、もう少しがんばって結婚を続けてみよう、と思うこともあるようです。

 


調停における評議とは

調停の中で、たまに、調停委員が「評議します」と述べることがあります。

これは、調停委員が、担当裁判官と話し合いをしたり、裁判官に意見や助言を求めることです。

調停が成立する場合や不成立となる場合は、まず調停委員が裁判官と評議した上で、裁判官が決めます。

その他、双方の主張が平行線である場合に、どうすべきかについて、裁判官と評議して助言を求めることで、話合いが進むことがあるのです。

 

評議の結果、調停委員から「裁判官がこのように言っているので、あなたの主張は通らないのでは?」等と言われることもあるかもしれません。

裁判官の見解を前提にせざるを得ないことが多いと思いますが、注意すべきなのは、調停委員から裁判官に対して情報が正しく伝わっていない場合があり得ることです。

また、争点(意見が食い違う点)によっては、裁判官によって意見が異なる場合もあります。

さらに、裁判官も、調停段階であるという前提で、解決案の提案という趣旨で、訴訟での判断とは、異なる解決案を提案することもあります。

 

評議の結果にどうしても納得できない場合は、あきらめずに、弁護士等に相談してどうすべきかを考えることをお勧めします。

なお、「裁判官の見解」はそれなりの重みがあるため、離婚事件の経験がかなり豊富な弁護士に相談することをお勧めします。

経験上、裁判官と直接話をした結果、風向きが変わったこともありますし、調停での解決をあきらめて、訴訟した結果、こちらの主張が認められたこともあります。

 

この「評議」のために、待合室で長時間待たされることがありますが、「評議」が長時間行われているのではなく、裁判官を待っている時間がほとんどの場合があります。

裁判官は、多くの事件を担当しているため、複数の部屋から呼ばれていることが多いため、「評議」を求めても、なかなか部屋に来られないことがあるためです。

 


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