今は、離婚は全く珍しくありませんし、父母が別居して生活しているご家庭も少なくありません。
これまでは、保育園や学校等で、漠然と、父母と子どもが一緒に住んでいる家庭が前提とされていましたが、これまでの歴史や、実際に父母が同居している家庭が多かったため、仕方がない部分はあったと思います。
ただ最近では、父母の表記を「保護者」「おうちの人」等とする等、一人親やその他の家庭にも配慮された表現が用いられているようですし、先生方も、それぞれ工夫していろいろな形の家族がいるということを説明されているようです。
それでも、「もう精神的に限界なので離婚したいけど、子どもの学校のことを考えると前に進めない」というご相談は少なくありません。
私の息子が5才ぐらいの時に、母子家庭のお友達に対して、「〇〇ちゃんちには、どうしてパパがいないの?」と無邪気に尋ねる場面を見てしまい、かなり焦った記憶があります。
ただ、息子は、なんの偏見もなく単に聞いてみただけだと思うのです。
そこで焦った自分に対しても、やはり、なんらかの偏見があるのかなと考えてしまいました。
LGBTや、利き手等の問題と同様に、どうしても、メジャーな集団が優先されてしまうということはあると思います。
それでも、保育園や幼稚園、小学校等において、生まれつき左利きの人がいるのと同じような感覚で、早いうちから多様な家族の形があることを前提としたコミュニケーションや授業が行われるほうが、今後の時代にはマッチすると思います。
その結果、個人一人一人の選択肢が増えるといいなと思います。
子どもが生まれると、夫婦生活も子ども中心になることが多いと思います。
そのこと自体は素晴らしいと思いますが、夫婦間で、育児に関する意見や価値観が合わず、離婚に発展してしまうことも少なくありません。
例えば、一方は子どもは厳しく躾けるべきと考えていて、もう一方は、自由に伸び伸びと育てたいと考えていることで夫婦喧嘩が耐えなくなってしまったり、中学受験させるかどうかについての意見が合わず、言い合いになってしまうというご相談を受けることもあります。
それぞれが、愛する子どものために・・・と考えているからこそ生じる問題ですし、正解がないので、難しいなと感じます。
育児に関する問題は私にとって他人事ではなく、まさに日々悩んでいますので、ご相談を受けた後、うーん、と考えてしまうこともよくあります。
例えば、妻は子どもの将来のために、中学受験をさせてあげたいと考えているが、夫は、小学生の間は、好きなスポーツに打ち込んだり、好きなだけ遊んで様々な経験をする方が大切と考えているような場合、どうすればいいのでしょうか。
子どもを含めて家族で話し合って、方向性を決めることができれば一番です。
しかし、実際は、子どもが父母の意見の相違を理解して空気を読んでしまい、自分の考えが分からなくなってしまっていることもあります。
また、意見や価値観の相違が、育児のことで表面化しただけで、実は既に夫婦間に既に深い溝が生じていることもあります。
後者の場合は、離婚問題に発展することがありますが、離婚すると、そもそも中学受験をする経済的余裕がなくなってしまう場合もあります。
離婚問題は、夫婦間の問題・教育の問題・お金の問題・価値観の問題等が絡み合っていることが多く、正解が見えずに悩んでいる方がたくさんいらっしゃいます。
優先順位をつけること自体難しい気がしますが、長い目でみると、父母が幸せを感じられない状況で、子どもが幸せを感じつつ健全に育つのは難しいのではないかと思います。
あくまでも個人的な意見ですが、まずは、夫婦それぞれが幸せになる形を模索しつつ、その中で子どもの環境や経済面を考えてみるという方法で考えてみると、進むべき道が見えてくる可能性があるのでは?と思います。
私達にとって、離婚・男女問題は毎日向き合っているライフワークのようなものです。
日々、様々な離婚問題のご相談を受けています。
ご相談を受ける際は、ご相談内容に集中して、過去の事例や裁判例等を思い出しつつ、最良の解決法を考えて伝えるようにしています。
なるべく、多くの情報を提供しなければと考えているからです。
ご相談の最後に、ご相談者から「すごく緊張していました」とか「気持ちが楽になりました」等の感想をいただくことがよくあります。
このような言葉をいただくと、とてもうれしく感じますし、わざわざ言葉にして伝えて下さることに感謝しています。
一方で、改めて、情報提供だけでは十分ではない場合があることを実感します。
離婚等のご相談にいらっしゃる方々は、ほとんどの方が、悩み抜いた末、思い切って法律事務所に予約をする、というハードルを越えていらっしゃるのだと思います。
また、このような問題に直面すること自体も初めてという方がほとんどです。
問題の解決の流れや見通しなどをきちんとお伝えすることが大切なのは当然なのですが、特に離婚のご相談はそれだけではなく、わざわざいらしてくださったご相談者の心境をできるだけ理解して寄り添い、リラックスしてお話していただくこと、また、味方がいると感じていただくことも、とても大切だと思います。
でも、正直、まだまだ・・という自覚があります。
ご相談いただく内容は、モラハラに苦しんでいる方、性格の不一致により離婚したい方、あるいはいきなり離婚を請求されて対応に苦労されている方、投資用不動産や法人等多額の資産を守りたいというご相談等、本当に様々です。
どのようなご相談でも、必要な情報をお伝えするのはもちろんですが、プラスアルファの価値を感じていただけるご相談を目指したいと思います。
離婚事件が解決した後に、ご依頼者様が、明るいご報告とともに、感想などを話してくださることがあります。
先日、ご依頼者様が、初回法律相談のことを振り返り、「見通しについて厳しい話もあったけど、最後にポロっと出てきた本音を聞いて依頼することを決めたんです。」と話してくださいました。
その一言とは「時間がかかる可能性もありますが、私は、●●様が離婚したいのであれば離婚させてあげたいと思っています。」だったそうです。
正直、少し驚きました。
その一言は、意識せずにたまたま口に出しただけで、口に出さなくても、当然の前提としてご理解いただいていると思い込んでいたからです。
ご相談にいらしてくださる方は、わざわざ時間やコストをかけてご相談にいらしてくださるので、法律相談では、お話できることは全てお話するようにしています。
ただ、その内容は、必ずしもご相談者様が期待する回答ではないかもしれません。
その場合でも、専門家として現実をお伝えすることが大切だと思いますので、ご相談者様が希望する結果の見通しが厳しい場合、あるいは確実ではない場合でも、そのことをきちんとお伝えするようにしています。
離婚事件は、相手がいることですので、ご相談者様の権利を最大限実現するには、相手の対応や裁判所の対応を正確に予測して方針を立てることが不可欠だからです。
でも、ご相談者様の立場からは、目の前の弁護士から「離婚成立までに時間がかかるかもしれない。すぐに離婚訴訟した場合は勝てるかどうかがわからない」等と伝えられると、突き放されるような気持ちになるのかもしれないということに気づき、反省しました。
厳しい見通しを伝える場合も、ご相談者様の問題をなんとか解決したいという思いを前提に、お話しているつもりだったのですが。。
改めて、言葉に出して伝えることの大切さに気付かされました。
2025.09.25
モラハラを受けている方について
離婚事件に対応する際に、ご依頼者様から結婚生活の話を聞いたり、調停等での先方の言動等から、ご依頼者様がモラハラを受けてきたことを実感することがあります。
思わず、「先方の言動かなりひどいですね。。」等と感想を漏らすと、ご依頼者様が、「そうですか?いつものことなので・・」「でも、うれしいです。これまでは、自分が悪いと言われ続けてきて、そうなのかなと思っていたので。。」等とおっしゃることがあります。
その度にご依頼者様の忍耐力にやりきれない気持ちになります。
そういう方の中には、当初、ご自身がモラハラを受けていると認識していない方が多く「自分が悪いのかもしれないけれど、無視されることが多いので」とか「周りに話したら、一度相談したほうがいいと言われて」等の理由でご相談にいらっしゃり、後になって、具体的な話が山のように出てくることもあります。
そして、当初は離婚を決意していない場合でも、ご相談にいらっしゃることで、離婚する道があることを知り、離婚を決意する方もいらっしゃいます。
モラハラをする方は、外面がとてもいい方が多いため、密かに苦しんでいる方や、自分の苦しみの原因さえ分からない方もたくさんいらっしゃるのではないかと思います。
モラハラに耐えてきた方は、忍耐力があり、聡明で明るい方が多いので、離婚事件が解決する頃には、輝く笑顔を見せて下さる方が多い印象です。
少しでも、もしかして?と感じる場合は、まず、信頼できるご友人やご親族等に相談して、なるべく客観的な意見を聞いてみることをお勧めします。
モラハラというと、男性のモラハラを想像する方が多いと思いますが、実際は、男性からのご相談もかなりあります。