離婚コラム
30代~40代といえば、子どもの進学問題で頭を悩ませたり、PTA活動などで忙しい方もいるかもしれません。あるいは子供はつくらずに結婚生活を送っていたものの、夫との価値観が合わなくなってきたという方もいらっしゃるでしょう。また、結婚した後も働いている女性が増えていることも多く、以前に比べて離婚後の経済的な心配が比較的少ないことから離婚に踏み切りやすい傾向があるのかもしれません。
女性が離婚したい側なのか離婚を請求されている側なのかを問わず、30代~40代女性からの実際のご相談で多く見受けられる理由としては、次のものが挙げられます。
「夫の行動が怪しいと思って携帯をチェックしたら、女性と露骨にやりとりしているLINEがあった」「浮気をしているようなので問い詰めたら離婚だと言われた」というように、夫の不貞(=他の異性と肉体関係を持つこと)がきっかけだという話は多いです。
逆に、他の男性と再婚するために夫と離婚したいというご相談もしばしば見受けられます。
不貞があると、夫婦間の離婚原因(=裁判離婚を認めてもらうための要件)になるのと同時に、不貞相手との間の不倫慰謝料問題が発生します。①夫が不倫をした側なら、夫とその浮気相手に対して、あなたは不倫慰謝料を請求できます。②逆にあなたが不倫をした側なら、あなたとその浮気相手は、夫から不倫慰謝料を請求される立場になります。
「夫が子どもに愛情を示さない」「自分も働いているのに、夫は家事も育児も手伝ってくれない」「夫はゲームばかりで家族とのコミュニケーションをとらない」というような不満が積み重なり、この人と今後結婚生活を送っていくのは耐えられない・・というケースも少なくありません。
逆に夫から「妻は働いていないのに家事をしない」「家がゴミ屋敷になっている」「妻からの愛情を感じない」等の理由で離婚を請求されてしまうケースもあります。
30代~40代に限った話ではないですが、「相手方の行動の細かい部分が気に入らない」「子どもを作りたいのに協力してくれない」「義理の両親との折り合いが悪い」などが理由となって離婚問題が持ち上がることも非常に多いです。
30代~40代女性の場合、「夫との関係が冷え切っていても、子どもが卒業するまでは離婚しない」というように、仮面夫婦であっても、世間体や経済面を重視して、子供がある程度成長するまでは離婚しない、という道を選ぶ方も少なくないようです。それも確かに一つの考え方ですが、あなたが本当に幸せかどうか、夫婦関係が冷え切った中で子供が幸せを感じることができるかどうか、について一度考えてみてはいかがでしょうか。
結婚生活にあなた自身が幸せではないなら、あなたの子供も幸せを感じることができない可能性もありますし、離婚問題はどこかで必ず出てきます。したがって「夫とはこれ以上婚姻生活を送ることができない」という気持ちが固まっているのであれば、ご自身の幸せのために早期に離婚に踏み切るのもひとつでしょう。
逆に、夫とやり直したい、一緒に老後を迎えたいという気持ちがある方は、夫の関係修復を目指すべきでしょう。しかし、夫の気持ちが完全に離れ、夫から離婚を要求されているような場合は、最終的に離婚を覚悟すべきとも考えられます。
このようなご質問は非常に多いですが、それより重要なことは、「どのくらい本気で離婚したいか」「夫との関係を修復するために本気で努力できるか」ということではないでしょうか。
仮に夫側に離婚原因がなくても、あなたが本気で離婚したいのなら、交渉の進め方次第で離婚に応じてもらえる可能性は十分あります(もちろん状況にもよりますが)。
逆に夫から離婚を切り出されたが離婚したくない場合は、まずは夫の気持ちを取り戻すための努力をすべきです。しかし、夫の気持ちが完全に離れてしまっているような場合は、結婚にこだわるよりも、有利な条件で早期に離婚に応じる方が、生産的と言いうる場合もあります。
あなたの収入が夫より低い場合は、離婚しない限り、婚姻費用を支払ってもらう権利があります。これは、あなたが自ら別居に踏み切った場合も同じです。これを男性側から見ると、妻が自ら出て行ったとしても、離婚が成立しない限り婚姻費用を支払い続けなければならないということになります。
30代~40代の財産分与で最も問題になるのは住宅ローンです。「離婚後もこの家に住み続けたいので、夫にローンを払ってほしい」というご希望や「住宅の査定を取ったところ、査定額よりローン残高のほうが高かった」と言う内容のご相談は非常に多いです。
また、夫の勤務先に退職金規程が整っている場合には退職金も財産分与の対象となりえますが、どのように分与してもらうかがしばしば問題となります。
婚姻費用と同様に双方の収入などを元に金額が決められます。基本的には子どもが成人するまで、かなりの長期間にわたって養育費が発生し続けることになります。最初に金額をいくらと取り決めるかは重要です。
「夫には会わせたくない」というご相談を頂くこともありますが、基本的には、子どもの健全な成長のために認められるべきものです(夫が暴力を振るうなどといった事情があれば別ですが)。面会交流の内容や頻度については、後で争いにならないようにきちんと取り決めておきましょう。
あなたが浮気した側(有責配偶者)で離婚を希望する場合は、裁判では離婚が認められにくいため、話合いで離婚に応じてもらう必要があります。したがって、相手の本心を推認しつつ、相手が離婚を望んでいない場合は有利な離婚条件を示す等の交渉が必要となります。
一般的に30代~40代女性の離婚で問題となりがちな点を挙げてみました。もっとも、具体的な事情はそれぞれ異なりますし、あなたが何を優先して生きていきたいのかによって、今後の方針も異なるでしょう。離婚を真剣に考えている、あるいは離婚を切り出されてしまった場合、まずは経験豊富な弁護士に相談の上、今後の方針について検討してみてはいかがでしょうか。