離婚コラム
「夫に不貞がバレてしまって離婚を請求されている。でも離婚はしたくないのでどうにかなりませんか?」というご相談をお受けすることもあります。結論から言えば、不貞をした側が離婚を拒否したいのであれば、相手方に誠心誠意謝罪して許しを請うのが最優先です。
仮にあなたが話し合い(協議・調停)での離婚を拒否すれば、夫は離婚訴訟を提起することを検討することになります。肉体関係があったという証拠を夫に握られている場合には、最終的に離婚が認められてしまう可能性が高いです。したがって、話し合いの段階で、離婚を翻意してもらえるように努力すべきです。
裁判離婚を認めてもらうための要件です。仮に一方が離婚を拒否していても、もう一方が離婚訴訟を提起して裁判所に認めてもらえれば、裁判離婚が成立することになります。
他の異性と性交渉を持つことです。
性交渉がなくても、その異性との親密度によっては、結論として離婚原因があると判断される可能性がないわけではありません。
「事実として不貞行為があった」ということと、「不貞行為があったことを証明できる証拠がある」ということとは、別の問題です。そのため、夫がどのような証拠を持っているのか(あるいは持っていないのか)という点には、注意を払っておくべきでしょう。
あなたとの婚姻関係を継続していく気持ちを夫に持ってもらうためには、誠心誠意謝罪するのが最優先です。
ところで、不貞行為の事実について仮に夫が大した証拠を持っていない場合であっても、離婚協議であなたがそれを認めた発言をすれば、それが一つの証拠となって今後の手続きで使用される可能性が出てくることには、注意が必要です。「全てを打ち明けて謝罪した方がいいですか?それとも認めない方がいいですか?」というご質問を受けることもありますが、決まった答えがあるわけではありませんので、自己責任で対応して頂くほかありません(全てを打ち明ければ許してくれるとは限りませんが、他方、認めずに反省の弁を述べたところで、真摯な謝罪と受け取ってもらえるとは限りません)。
夫の離婚意思が固ければ離婚調停を申し立ててくることになります。あるいは協議が進まないのをみて夫が別居に踏み切る(あなたを追い出す)可能性なども出てくるでしょう。
離婚調停を申し立ててきたということは、夫は本気で離婚を考えている可能性が高いです。調停委員が、あなたが不貞をしたというのがどうやら本当らしいとか、あるいはこれ以上夫婦関係を続けるのは夫にとって酷だろうというように判断すれば、離婚に応じるようあなたにプレッシャーをかけてくるでしょう。
ただ、もし夫の側にも何等かの落ち度があるような場合であれば、あなたが誠心誠意修復に向けて努力するという姿勢を見せることができれば、調停委員が申立人を説得してくれる可能性もあるかもしれません。
あなたが欠席すると調停はいずれ不成立となります。夫としては、調停に出てこない=あなたには話し合うつもりがない、と理解するはずです。夫がそのまま仮面夫婦を選択してくる可能性もあるかもしれませんが、離婚訴訟を提起してくる可能性も高いでしょう。
肉体関係があったと伺える内容の証拠を握られている場合、離婚原因にあたらないとの主張が通る可能性は極めて低いです。しかしそうでない場合には、争える余地はありうるでしょう。
一般論として「離婚原因があるといえるかどうか微妙」という状況の場合には、婚姻継続の方向で説得してくれる可能性もありえます。
あなたが他の男性と不貞行為=性交渉をしたということが認められれば、いくらあなたが離婚を拒否していても、最終的には裁判離婚が認められてしまう可能性が大きいといえます。たとえば夫に問い詰められて不貞の事実を認めてしまった、男性とラブホテルに入るところの写真を撮られてしまったというような場合には、法律的にはそういう厳しい状況にあるということを認識しておく必要があります。それでも離婚したくないというのであれば、夫が手続きを進めないよう離婚を翻意してもらうしかありません。失われた信頼を回復して婚姻関係を継続するためにあなたはどうするつもりなのか、夫に態度で示すしかありません。
不貞行為の証拠まではなさそうな場合であれば、離婚を争ってみるのも一つの方法ではあります。もっとも、調停ならまだしも訴訟までもつれ込んでしまうと、夫としてはもはやあなたと婚姻生活を送る気にはなれないでしょう。また、いくら離婚手続きを拒否して争っていったところで、それ自体で夫の気持ちを取り戻せるわけでもありません。したがって婚姻継続を希望するのなら、不倫がバレた時点で誠心誠意謝罪して許しを請い、夫の信頼回復に努め続けるべきでしょう(それには長い時間がかかるでしょうが・・)。