離婚・男女問題にお困りなら

エトワール法律事務所 離婚

新宿駅より徒歩7分、代々木駅より徒歩4分

離婚コラム

はじめに

「妻が別居していった状態が続いている。こちらから離婚を切り出したら、離婚は絶対しないと言われた。どうしたらいいですか?」というご相談を頂くことがあります。別居していったくせに離婚しない妻は、一体何を考えているのか。その対策と合わせ解説しています。

自分から別居しておいて離婚に応じないのはなぜ?

理由はいくつかありますが、ほとんどの場合、あなたの提示する条件に納得いかないからです。

離婚条件に納得がいかないから

たとえば「離婚自体はお互い仕方ないと思っているが、親権者をどちらにするか、財産分与養育費の金額で折り合わない」という場合です。お金の問題なら、そもそもどれだけの財産があるか、収入がいくらなのかといったような前提条件についての認識の違いがなければ、折り合いがついて離婚できる可能性はあります。逆に言えば、折り合いがつかないのは、そのような点で認識の差異があることが多いです。たとえば、①あなたが財産を隠していると妻が思っている、②あなたが相続した財産なのに財産分与の対象になると妻が誤解している、③慰謝料が発生する理由もないのに、妻が慰謝料にこだわっている、といったような場合です。なお、親権を双方が本気で取りたいと思っている場合には、最終的に裁判所の判断を仰ぐしかありません。

別居後にお金が心配になったから

妻が別居してお金の問題に直面し、離婚の踏ん切りがつかなくなったというものです。収入があなた>妻である場合、妻は自分が別居した後でも、離婚するまでの間はあなたに婚姻費用を請求することができます。特に妻が専業主婦の場合、収入を得るようになってもそれだけでは生活ができないことが現実問題として多いです。そのため、「それなら別居のまま離婚しないで婚姻費用を貰い続けよう」となってしまいがちです。

あなたから離婚だと言われたくはないから

別居した妻が、「あなたから離婚を言われる筋合いはない」と離婚に応じないことがあります。あなたから離婚したいと言われたら願ったり叶ったりではないかと思うのですが、妻にしてみれば、「あなたに原因があるから離婚したいと思って別居したのであって、私のほうには落ち度はない。だから離婚には応じられない」とでも思っているのかもしれません。

あなたへの報復

あなたが有責配偶者である場合、あなたの浮気への報復として「絶対離婚してやらない」と意固地になっていることがあります。完全に報復感情で離婚を拒否してきているので、「早期に離婚に応じたほうがメリットがある/応じなければデメリットがある」という点に目を向けさせるよう、交渉を進める必要があります。

とは言っても、このような妻に対しては、浮気したあなた自身が何を言ったところで態度が頑なになるだけです。離婚協議を弁護士に委ね、場合によっては調停、裁判を見据えたうえで説得を試みるべきです。

対策①:妻と別居を続ける

別居を続ける(=現状維持で様子を見る)のであれば、それはそれで一つの選択肢です。夫婦間の問題を時間が解決してくれることもありうるからです。ただしリスクがあることは踏まえておくべきです。

夫婦関係に基づく義務も続きます。

別居中であっても婚姻関係は続いていますので、婚姻関係に基づく義務は発生し続けています。したがって、婚姻費用(生活費)を請求されれば支払う義務があります。

仮にあなたが他の女性と親密になり肉体関係を結ぶと、あなたとその女性とが妻から不倫慰謝料を請求される可能性も出てきます。あらかじめきちんと離婚しておくことで、彼女を余計な面倒事に巻き込まないようにしておくべきでしょう。もし実際に彼女が不倫慰謝料を請求されてしまっているなら、弁護士に相談させることをお勧めします。

参照:不倫慰謝料を請求された

裁判離婚がいずれ認められてしまいます。

別居期間が積み重なっていけばそれ自体が離婚原因となってしまいます。別居期間が長くなった時点であなたが離婚を拒否したくても、妻が離婚訴訟を提起することで、裁判離婚が認められてしまう可能性はあります。

対策②:修復・再同居に向け努力する

これは弁護士がどうこうというよりも、当事者の気持ちの問題です。

努力を形で示すしか…

「別居していった妻に離婚を切り出しはしたが、戻る気があるのなら夫婦関係を修復してもよい」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。あなたの本音として修復を希望するのなら、妻が何を問題視しているのかを突き止め、あなたの努力によってその点が解決・改善されたと妻に感じてもらうことができれば、修復・再同居の可能性はありえます。とはいっても口で言うだけでは土台無理な話です。あなた自ら行動で示すしかありません。

対策③:離婚手続きを進める

あなたが離婚で決心しているのなら、粛々と手続きを進めていくべきです。

優先順位を決めて行動を

「有利に進めたい、不利な合意はしたくない」というのは、あなただけではなく相手方も考えていることです。重要なのはあなたが希望の優先順位を決めておくことです。

あなたが離婚に向けて行動する必要があります。

夫婦関係の実態もなく妻への愛情もないのに婚姻費用を支払い続けているというのでは、一体何のために籍を入れ続けているのか分かりません。このままでは他の女性と公に新生活を始めることもできず、中途半端に束縛されてしまいます。この現状から脱却したいのであれば、あなたの側から離婚に向けた行動を起こす必要があります。

離婚、お金、子ども等々。何を優先するか決めましょう。

「勝手に家を出た妻に生活費など一切払いたくないから早く離婚したい」、「新しい恋人と再婚したいから早急に籍を抜きたい」、「離婚したいのはやまやまだが、高額の財産分与を支払うのなら今すぐにはしたくない」…等々、色々な希望があると思います。離婚の話を進めるにあたって、お金や子どもの話は避けて通れません。あなたとしては何を優先するのか、自分でよく考えて優先順位を決めておく必要があります。

離婚手続きの見通しは?

仮に話し合いがまとまらなくても、別居が離婚原因になりえます。

離婚についての話し合い(協議・調停)

先に述べたように、別居していった妻が離婚を拒む理由は、お金の点にあることが多いです。逆に言えば、財産分与等でその不安を解消させる提案をすることで、妻が離婚に応じてくることはよくあります。

再度の同居は禁物です。

ちなみに、仮に別居後に妻が家に戻りたいと言ってきたとしても、あなたが離婚したいのなら応じてはいけません。「妻からの夫婦関係修復の打診を受け入れた」と裁判官から見られてしまう可能性が後々出てくるからです。

別居自体が離婚原因になりえます(離婚訴訟)。

婚姻期間に比べ別居が相当程度長期間続いているのなら、仮に妻が話し合いでの離婚に応じなくても、婚姻関係が破綻しているとして裁判離婚が認められる可能性があります。別居が続くとそれ自体が「婚姻を継続し難い重大な事由」として離婚原因になります。そのことは、妻からだけではなく、あなたからも主張できます。

同居拒否を理由とする離婚訴訟

別居がまだそれほどの長期間ではなくても、あなたから円満調停を申し立てておき、夫婦関係修復の可能性を探ったにもかかわらず妻が同居に応じてこなかったということを理由として、離婚訴訟を提起することも考えられます。

モラハラ妻の場合は?

モラハラ妻の場合でも、弁護士が間に入るとそれなりに協議が進むことも多いです。もっとも、妻のキャラクターが強烈な場合、「こちらの言う条件でなければ絶対離婚しない、あなたがそれを飲むか飲まないかだけだ」という態度を一切崩さないことがあります。この場合、離婚調停や離婚訴訟を見据えて行動することが必要です(調停委員や裁判官を味方につけることが重要です)。

参照:モラハラ妻と離婚したい

あなたが有責配偶者の場合は?

いくらあなたが早期に離婚したいといっても、別居の理由があなたの不貞だったとすると「有責配偶者からの離婚請求」となってしまい、あなたからの離婚請求は裁判でも簡単には認められなくなってしまいます。とはいえ、離婚が不可能だと諦める必要はありません。別居状態に落ち着いてしまった妻に対し、早期に離婚に応じてもらうためには、相当高額の財産給付などが必要になってしまうでしょう。もっともその場合でも、婚姻費用を長年請求され続けるよりは十分メリットがあることも多いです。

まとめ

別居していった妻が離婚を拒否してくるのは、ほとんどの場合、離婚条件に不満があるからです。それがお金の問題なのであれば、離婚協議の段階でそれなりの額を払う約束をし、早期解決を図るのも一つの方法です。夫婦としての実態もなく妻への愛情もなくなったのに婚姻費用だけ支払わされるのでは、トータルで見ると時間もお金も損するからです。

モラハラ妻の場合やあなたが有責配偶者の場合が典型ですが、あなた自身で妻と交渉を試みても、ほとんど話にならないケースも多いです。あなた自身で話ができないなら、今後の進め方について弁護士に相談してみることをお勧めします。

お問い合わせ

TOP