離婚コラム
相手方が一方的に家を出ていってしまい別居状態となることがありますが、その後で「一旦は家を出たけれど、夫婦関係を復縁・修復したい。やっぱりまた一緒に暮らしたい・・」というように持ち掛けられることがあります。
これに応じて再度同居した場合、客観的には夫婦関係は修復されたものと考えられる可能性があります。
あなたも夫婦関係を修復したい場合は問題ありませんが、あなたが離婚を考えている場合は、慎重に判断する必要があります。
婚姻関係にある夫婦には、お互いに同居し協力する義務があります。それにもかかわらず別居している状態が長期間継続すると、それ自体が婚姻関係の破綻を示していると判断される可能性があります。いいかえれば、別居期間が長くなると、それ自体が離婚原因になり得るのです。
たとえば、妻がいきなり家を出てしまったような場合、別居期間が長期間経過した段階で、夫か長期間の別居を離婚原因として離婚訴訟を提起すれば、離婚が認められる可能性がありますが、出て行った妻から離婚訴訟を提起した場合でも、離婚が認められる可能性があります。出て行かれた側からは、「勝手に出て行ったのに・・・」と感じるかもしれません。
裁判では、別居期間だけでなく、同居期間や出て行った理由、その時の夫婦ないし家族の状況や別居後の状況なども考慮されますので、相手に落ち度がないにも関わらず、相手や家族の生活に配慮することなくいきなり出ていったような場合は、そのことがマイナス要素として考慮される可能性があります。
再度同居に至る事情はさまざまだと思います。お互いが頭を冷やして考え直した結果、「もう一度夫婦としてやり直そう」ということで同居に至ることもあるでしょう。一方で、お互いに夫婦としての愛情がないことを認識しつつ、世間体や子供の立場を考慮して、子供が成人するまで等、期限を決めた上で再び同居することもあります。
しかし、仮に後者の場合であっても、客観的に見れば「再度同居したということは、仲直りしてやり直そうということになったのだろう」と考えられてしまう可能性があります。再び同居生活を継続した後に、相手が勝手に出て行って長期の別居期間があったことを離婚原因として離婚訴訟を提起しても、再度同居したことがマイナスに働いてしまう可能性があるのです。
勝手に家を出た相手方から家に戻りたいと打診された場合、その相手方と夫婦としてやり直すつもりが残っているのであれば同居に応じてもよいでしょう。
しかし、やり直すつもりがないのであれば、同居に応じるかどうかについては、その後の手続きのことも考慮して、慎重に判断する必要があります。