離婚コラム
例えば、働き手の夫に生命保険を掛けておき、万一のときの生活保障として保険金受取人を専業主婦の妻と指定する、といったことも多いでしょう。
離婚する場合、受取人をどのように指定したかを確認し適切に処理しておかないと、万一のときにそのまま保険金が支払われてしまう可能性があります。
保険金が支払われる者として、保険契約で定められた者のことです。
「妻○○××」と指定したときは、「○○××」個人を指定したものと考えるのだ、と判断したのが昭和58年9月8日最高裁判決です。
この判例によれば、①個人を氏名(「○○××」)で特定しており、それを「妻」という表示で補助しているだけだ、②妻である限りにおいて「○○××」を指定したものだと理解するためには、さらに特段の表示が必要とされています(もっとも、保険契約を結ぶときにそのような特段の表示がなされることは、現実問題としてはまず無いと思われます)。
保険契約者(=保険料を支払う義務のある人)は、保険事故(=上記の例なら、夫の死亡)があるまでは、保険金受取人の変更をすることができます。離婚が決まったら、すぐに変更しておきましょう。
なお、保険金受取人の変更には、被保険者(=死亡する人。上記の例では夫)の同意が必要です。
保険会社から変更手続き用の書類を取り寄せて、記入・提出することになります。
一般的には、受取人を変更する理由、被保険者(=上記の例なら夫)と新しい受取人との続柄、新しい受取人の氏名・生年月日などを届け出ることになります。
遺族の生活保障のために生命保険を掛けることはよくあることですが、契約の際、保険金受取人を記載する欄に氏名を記入することを求められます。これにより、その個人を保険金受取人として指定することになります。
離婚する場合は、きちんと保険金受取人を変更しておく必要があります。そうしないと、例えば再婚して新たな家庭ができていたとしても、万一の場合の保険金が元の配偶者に支払われてしまい、守るべき家族が困窮してしまうことになりかねません。もし思い当たる節があれば、きちんと手続きをしておきましょう。