離婚コラム
配偶者のある者が、別の異性と内縁関係にある場合のことです。ちなみに重婚というのは、法律上の婚姻が重複する場合のことです(民法732条)。重婚的内縁も内縁ですので、婚姻届を提出していない(できない)点を除けば夫婦同然だという実態が必要です。単なる愛人関係とは違います。
AとBが夫婦でBとCが重婚的内縁関係にあるとして(婚姻届をAとBで出していますが、BとCでは出していません)、CがBから内縁を破棄された場合、CはBに慰謝料を請求できるかという問題です。認められなかった裁判例もありますし、仮に請求が認められるとしても、ABの婚姻関係の形骸化が必要とされることが多いようです。
離婚時だけでなく内縁解消時にも財産分与請求権は認められる、という考え方が一般的です。
重婚的内縁の解消の場合にも、財産分与を認めた裁判例はあります。しかし、単なる内縁の解消時とは違って別に配偶者(A)がいますので、もしCがBから多額の分与を受け取るならば、Aの生活が脅かされる可能性があります。そのため、婚姻関係が形骸化していること、そのことにCの責任がないことなどが必要とされる傾向にあるようです。
婚姻した配偶者には相続権がありますが、内縁関係の場合には相続権はありません。Bが死亡しても、Cは相続人にはなりません。また、B死亡時にCが財産分与を受けることも、認められていません。
「死亡による内縁解消のときに、相続の開始した遺産につき財産分与の法理による遺産清算の道を開くことは、相続による財産承継の構造の中に異質の契機を持ち込むもので、法の予定しないところである」