離婚コラム
不倫していた夫(妻)…。自分が裏切られていたことに対する怒りをどのようにぶつければ良いのか。身に覚えのあることとはいえ、突然何百万円も請求されて一体どうしたらいいのか。
不倫・不貞慰謝料問題というのは、「そのようなトラブルになっていることを他人には絶対知られたくない」という典型です。弁護士への相談すら憚られるという方も少なくありません。それだけに当事者のストレスは非常に大きくなります。このコラムを読んで頂いている方の中にも、精神的にかなり辛い日々を過ごされている方もいらっしゃるかと思います。
不倫・不貞慰謝料を請求したい方、あるいは請求されて困っているという方から、当事務所では数多くのご相談を頂いておりますが、弁護士に相談するにあたってどのようなことをまとめておくとよいか、このコラムでまとめてみました。不倫・不貞慰謝料問題に詳しい弁護士の視点から申し上げますと、この点が相談時に分かっていると見通しを立てやすいというポイントがいくつかあるのです。不倫慰謝料問題全般について下記サイトで突っ込んで解説していますので、あわせてご参照ください。
参照:不倫慰謝料問題専門サイト
「不倫・不貞の証拠にはどんなものがありますか?」というご質問はしばしばいただきます。探偵の写真まではなくても、メール、LINEなども証拠となり得ます。また、当事者が不貞を認めた事実を証明できるものがあれば、それも証拠となり得ます(夫(妻)に書かせた誓約書など)。
不倫・不貞の証拠としてお持ちのものを法律相談の際に持参いただけると、弁護士がその内容をチェックできますので、今後の方向性を見立てやすくなります。
不倫・不貞慰謝料を請求できる相手が誰かというと、あなたの配偶者/その不貞相手/その両方、のどれかになります。とはいえ、不貞相手の名前も連絡先も一切分からないとか、配偶者が住民票も移さず蒸発してしまったような場合には、請求することは困難です。ちなみに「不貞相手の携帯番号だけは分かっている」というケースは多いですが、弁護士に相談し依頼すると、弁護士会照会を通じて不貞相手の住所が判明することもあります。
不倫・不貞行為が原因となって離婚することになった場合、精神的損害が大きくなるため、認められる慰謝料額も大きくなります。逆に離婚も別居もしない場合は、離婚・別居に至った場合に比べて精神的損害が小さいと判断され、慰謝料額が低額になる可能性があります。もっとも,その場合でも、相手方に不倫慰謝料を請求しつつ「今後は夫(妻)と会わない」などと約束させることを目指して交渉していくこともありえます。
法律相談までに離婚・別居を決めておく必要はありません。しかし、離婚・別居するかどうかで認められる慰謝料額が変わってくる可能性が高いというポイントは、念頭に置いておきましょう(※)。
(※)ごく端的にいえば、「離婚して慰謝料額を高くする」のと「離婚しない。慰謝料額は低くても仕方ない。接触禁止に応じさせたい」のとどちらを選ぶのか、遅かれ早かれ態度決定を迫られることになります。人情としては「離婚も別居もしないが慰謝料は多く回収したい」のも当然ですが、裁判では、離婚も別居もしていないことが裁判官に重視される可能性は高いです。
不倫・不貞相手に請求をする場合、相手の支払い能力(資力)も考慮する必要があります。たとえば、相手方が会社員なのか専業主婦なのか学生なのか等々によって、最終的な回収可能性が異なるからです。
不倫・不貞相手が会社員であり、勤務先を把握している場合は、給料を差し押さえて慰謝料を回収することができる場合もあります。しかし、仮に資力がない人に対して300万円を支払えという判決をもらったところで、実際に回収することは困難であることが多いです。法律相談で事件の見通しを立てる際には、相手方の資力についても可能であれば把握しておきたいポイントです。
相手方と交渉するときのポイントをまとめていますのでリンク先をご参照ください。もっとも、不倫慰謝料をあなた自身で請求しても、必ずしも望ましい結果になるとは限りません。弁護士をつけることで、場合によっては訴訟提起もありうる、という態度を相手方に見せつつ交渉するほうがベターです。
不倫・不貞慰謝料を相手方本人が請求してくるパターンもありますが、特に相手が依頼した弁護士が請求してきている場合は、相手方は、わざわざ弁護士費用を支払って請求していると考えられますので、相手方がそれなりの証拠を確保している可能性が高いと言えます。
相手方本人から電話や口頭で不倫慰謝料を請求された段階なのか、弁護士から内容証明や書面が送付された段階なのか、裁判所から訴状や調停の呼び出しが届いた段階なのか、ということです。弁護士からの内容証明を放置すると、裁判にされる可能性が高くなります。裁判所から訴状が届いているのに無視すると、相手方の言い分どおりの判決が出てしまう可能性があります。
もし内容証明などが届いているのであれば、法律相談時にご持参いただくことをお勧めします。その記載内容から、相手方が何を考えているのかが推察できる場合もあるからです。
参照:不倫で内容証明が届いたら
不倫・不貞行為が存在しなかったとしても、客観的に不貞行為の存在が疑われるような証拠を確保されていることもあります(※)。そのような場合は、裁判にされる可能性もあるので、裁判結果も予測しながら対応していく必要があります。
(※)例えば、メールの文面をみると肉体関係があったとしか思えないが、実際にはそのようなやり取りをするのを楽しんでいただけというような場合です。
また、仮に不倫・不貞行為が事実だとしても、全く証拠を握られていないようであれば、請求する側が裁判で不貞行為を証明することができない状況となります。
法律相談までに、不倫・不貞がバレた経緯や、その後相手方本人や交際相手から聞いた話の内容などをまとめておきましょう。
不倫慰謝料問題が裁判となった場合、不貞行為による慰謝料の金額は、相手方が不貞行為によって別居や離婚に至ったかどうかによって影響を受けます。慰謝料を請求する人が別居や離婚に至った場合は、被った損害が大きいと判断され、慰謝料も高く認定される可能性があります。
法律相談までに、相手方と交際相手の離婚の動向がもしわかるなら把握しておいてください。そのほうが見通しを立てやすいです。
もっとも、あなた自身で不倫慰謝料を減額すべく交渉を試みても、相手方の感情を逆撫でするだけに終わってしまう可能性もあります。弁護士をつけて、きちんと話し合うつもりがあることを相手方に伝えるほうがベターです。
不倫・不貞慰謝料問題を弁護士にご相談いただく際に、上に挙げた事情をお知らせいただけると、弁護士側もおおよその見通しを立てやすくなり、実のあるアドバイスを差し上げることが可能となります。とはいえ、当事者の社会的立場や家庭問題など、ここに挙げられていない事情が影響する場合もあります。また、話し合いで解決できず裁判での解決となると、最終的な慰謝料金額は裁判官の考えや個性の影響を受けることもあります。
したがって、予め明確な見通しをたてるのは意外と難しいのですが、不貞慰謝料問題の取り扱い経験が多い弁護士は、経験から多様な事態を想定しながら見通しをたてて事件を進めることが可能です。当事務所では不貞慰謝料問題を多く取り扱ってきておりますので、まずはご相談ください。
なお、不倫慰謝料を請求したい側について、あるいは不倫慰謝料を請求されている側について、それぞれのリンク先で簡単にまとめていますので合わせてご参照ください。
参照:不倫慰謝料を請求したい