養育費
養育費とは、子どもが独立して自ら生活費を稼ぐことが期待できるまでに必要とされる費用のことです。
父母が離婚したとしても、養育費を分担すべき義務があります。
裁判所では、養育費を直接請求した時からあるいは調停などの申立て時点から認められることが多いです。
ちなみに、離婚前で婚姻費用が支払われている場合は、別途養育費を請求することはできません(養育費は婚姻費用に含まれているからです)。
一般的には、子が成人するまでとすることが多いです。
調停や審判の場では、東京家庭裁判所のウェブサイトに掲載されている「養育費・婚姻費用算定表」を利用します。
子の数・年齢であてはめるべき表を選び、双方の年収のところを見れば、養育費が算出されます。特別な事情があれば、算出金額の増減が認められることもあります。
算定表にそのまま当てはまらない場合(高額所得者など)は、算定表の元となっている算式を参考に適宜修正するなどして算出します。
まずは、相手に請求の意思を伝えましょう。話し合いで合意できない場合、裁判所に調停を申立て、調停で話し合うことになります。
それでもまとまらなければ、最終的には裁判所が審判という形で判断することになります。
なお、話し合いで合意できた場合でも、相手方が支払わない可能性があるときは、公正証書を作成するなどして、相手方が支払わない場合に、強制執行することができるようにしておくことをお勧めします。
調停で話がまとまったにもかかわらず、あるいは審判がなされたにもかかわらず養育費が支払われない場合、調停調書や審判書に基づいて、強制執行(給料の差押えなど)をすることができます。
公正証書を作成した場合も同様です。これは専門的な手続きになりますので、弁護士にご相談ください。
強制執行よりも簡易な手続きとして、家庭裁判所への申し出により、裁判所が相手方に支払うよう勧告してくれるという制度があります(=履行勧告)が、何ら強制力はありません。
また、家庭裁判所への申立てにより、相手方への履行命令を出してもらうことも可能ですが、命令に従わなくても10万円の過料が科されるにすぎませんので、実効性は乏しいです。
裁判所では、養育費は、申立時点以降の分しか認めてくれないのが一般的です。
申立て前の過去の養育費の未払いがあったことは、以後の養育費の額を決める際に考慮されることもあります。
いったん養育費の額が決められた場合であっても、その後に、その金額では不都合になったという事情の変更があれば、増額・減額を求める調停を起こすことが可能です(調停で話がまとまらなければ審判となります)。
増額・減額が認められる例としては、父・母の収入の増減、子の病気、父・母が再婚して別の子ができた、子が養子縁組をした、といった場合があげられます。
もっとも、一度取り決めた額を変更する必要があるほどの大きな事情変更で、取り決めの段階で想定されなかったような事柄でなければ、増額・減額を認めてもらえません。
したがって、最初に金額を取り決める際に相場と離れた金額で合意してしまわないように注意することが必要です。
最近でも、離婚後に養育費を支払ってもらっていないというケースがしばしば見受けられます。
子の生活を守るためには、養育費の請求はとても重要です。