慰謝料コラム
「不倫慰謝料200万円を払え、今後一切夫と連絡するな」という要求をされているその最中に、当の夫(=あなたの交際相手)から連絡が入ることもあります。相手方(=交際相手の妻)から連絡するなと言われているのに、連絡を取ってしまっても大丈夫なのでしょうか?
交際相手からの連絡といっても、その内容はさまざまです。「妻が慰謝料請求しているようだが大丈夫?」という場合もあれば、そんなことはお構いなしに「今夜どう?」という単なる誘いの場合もありえます。返事して大丈夫かどうかという以前の問題として、まずはその点を見極めるべきでしょう。
要求に従って連絡することのメリット・デメリットは、かいつまんでいえば以下のとおりです。ちなみに要求に従って連絡しない場合は、以下の内容の裏返しになります。
要求に従わず連絡を取っていることが相手方に知られると、相手方の感情を逆撫でして示談が遠のく可能性があります。また、交際関係継続中であり、婚姻関係を現在進行形で破壊していると主張される可能性もあります。交際相手からの連絡によって交際を継続してしまうような場合は、慰謝料増額の方向に働く可能性も否定できません。
離婚するという相手方の言い分は本当なのかどうかなど、相手方についての情報を得られる可能性があります。離婚するかどうかは慰謝料額を最も大きく左右する事情ですので、その情報が信用できるなら、交渉材料として有利に進めることも期待できます。
付き合っていた交際相手を信用したくなるのは人情でしょうが、信用しすぎるのは禁物です。交際相手は、離婚したくないあまりに相手方に協力しているかもしれません。また、相手方とあなたとの双方にいい顔をしようとして振る舞っているかもしれません。
交際が明らかになって相手方から不倫慰謝料を請求されるに至った以上、それまでの交際中とは違った見方で交際相手の本性を冷徹に判断しないと、足元をすくわれかねません。
連絡するなという要求に従う義務まではありません。しかし、相手方の要求(希望)を無視したことで、示談交渉等に悪影響が出る可能性も否定はできません。メリットとデメリットを慎重に考慮したうえで行動すべきです。