慰謝料コラム
不倫がバレて内容証明が交際相手の妻(夫)から届くと、「どうしよう、職場や自分の家族にバラされるかも…」などと不安でいっぱいになります。仕事や家事も手につかないことでしょう。でも、きちんと対応すれば、その不安な気持ちを解消して問題解決に向けて進めていくことができます。今回は、不倫がバレて相手方から内容証明が届いてしまったとき、どうしたらいいかをご紹介しています。
内容証明の形で差出人が差し出すのは、これらの記録内容を後で証明するためです(※)。これ以外に特定記録や書留といったものがありますが、特定記録だとポストに投函されたことが記録されるだけですし、書留だとあなたが受け取った記録は残りますが、書かれていた内容までは証明できません。
(※)あなたに行動させる(ex.謝罪させる、慰謝料を払うと言わせる)ために内容証明の形で脅してきているだけで、実は裁判までは考えていない、という可能性もありえます。しかし油断は禁物です。
内容証明は、その名の通り、内容を後から証明するために使われます。具体的に言えば「〇年〇月〇日、〇日以内に不倫慰謝料〇〇円を支払えという内容を、相手方があなたに対して送った」ことを、相手方が後の裁判で証明できるように、わざわざ内容証明を送って来ているのです。
内容証明を放置しても何の解決にもなりません。きちんと相手方と向き合って話し合っていくべきです。
内容証明を放っておくと、相手方が「不倫慰謝料を支払え」という裁判を提起してくるかもしれません。というより少なくとも弁護士にとっては、訴える前提で送るのが内容証明です。いいかえれば、弁護士からの内容証明を放置すると、訴えられる可能性が高くなります。
内容証明を送ってきた相手方はもしかすると、「あなたが心から反省して関係清算を約束するなら、裁判はしなくていい」と思っているかもしれません。それなのに内容証明を放置してしまうと、あなたに反省の色が全くないと思われてしまい、すぐに訴えを提起されてしまうかもしれません。不倫慰謝料の減額に向け話し合えるかもしれないのに、あなた自らその可能性をつぶすのはもったいないです。
内容証明に返事をしたからといって、不倫慰謝料の減額に応じてもらえるかどうかはもちろん別問題です。減額するためのポイントを踏まえて話し合いを進めていきましょう。「不当な高額請求に対しては裁判になることも辞さない」という態度が、実は減額交渉では一番大切になってきます。そのためには、減額交渉から弁護士に依頼することをお勧めします。
内容証明が誰から来ているのか、きちんと把握しておきましょう。特に弁護士から来ている場合は、訴えられるリスクは大きいです。
内容証明に相手方本人の名前しか記載されていないなら、それは相手方本人から来ています。相手方本人が実際に文章を書いたのかもしれませんし、本人が依頼した行政書士などが代筆したのかもしれません。もっとも、そのどちらなのかは、さして重要ではありません。
行政書士は書面作成だけしかできない、と行政書士法で定められています。にもかかわらず、内容証明に載っている行政書士が、示談交渉の窓口になると言ってきたり示談内容に口出ししたりするかもしれません。その場合、あなた自身で対応すべきではありません。すぐに弁護士に依頼して反撃すべきです。
裁判の手続きは相手方本人で行う必要があります。法律を勉強したことがあるのならともかく、ごく一般の人にとってはかなりハードルが高いです。そのため、内容証明をあなたが無視すると、その段階で相手方が改めて弁護士をつけてくることも多いです。
不倫慰謝料の内容証明が司法書士から届くことは比較的少ないです。140万円超の不倫慰謝料を請求したい場合、司法書士に代理してもらえないからです。ただし、司法書士兼行政書士が、行政書士としてその内容証明を代書(代筆)している可能性はあります。
相手方本人の代理人として行動するということです。たとえば相手方代理人(Aさん)が100万円で示談すれば、それは相手方本人(Bさん)が100万円で示談したのと同じことです。
司法書士の中でも「認定司法書士」という人たちがいます。代理人としてその名前が内容証明に書いてあり、不倫慰謝料の請求額が140万円以下なら、「相手方本人を代理したその認定司法書士から内容証明が来ている」ということです。
認定司法書士が裁判の法廷で活動できるのは簡易裁判所だけです。それ以外(地方裁判所など)では相手方本人が手続きをするか、あらためて弁護士を依頼するかになります。
内容証明を弁護士が代書することもありえますが、その場合には、法律事務所名や弁護士名が内容証明に記載されていないことが多いです。逆に記載されていれば、その内容証明は、相手方本人の代理人である弁護士から来ているということです。
弁護士が相手方についた場合、「あなたの不倫で婚姻破綻した。慰謝料300万円を払え」というように、数百万円の不倫慰謝料を請求する内容証明が来ることはよくあります。弁護士から数十万円の請求をされているというケースはほぼ見かけません。相手方はそれなりの弁護士費用を支払って依頼しているはずですので、いきおい請求額も大きくなるのです。
内容証明を弁護士が送るのは、将来的に訴える場合を見据えてのことです。弁護士は裁判が本業ですので、裁判することに躊躇はありません(もちろん、そのメリットが無ければ別ですが)。
内容証明の「数百万円を払え」という記載を見て、「肉体関係は一回こっきりだしそんな高額になるわけがない、不当請求だから無視しよう」…などと思うかもしれません。しかし、弁護士からの内容証明を無視するとほぼ確実に訴えられます。不当だと思うのならその理由を挙げつつきちんと反論していき、「裁判になることも辞さない」という覚悟で臨む必要があります。そのためには、あなたの方でも弁護士を依頼して対応すべきです。
内容証明には、相手方の要求だけでなく、要求の根拠もふつう記載されています。まずはこれらを把握することが大事です。
内容証明に「不倫慰謝料300万円を払え」、「夫(妻)の連絡先を全て消せ」と書かれていたとすれば、それが相手方の要求です。何をどこまで要求するのかは、基本的に相手方の自由です。場合によっては「会社を辞めろ」、「引っ越せ」などと書いてあるかもしれません。この要求が、不倫慰謝料の減額交渉を今後進めていくときのスタートライン(基準)になります。
内容証明には、要求の根拠もふつう書かれています。たとえば、①それまで夫(妻)との平穏な婚姻生活が続いていた、②夫(妻)が既婚者だとあなたは知っていた、③あなたからホテルに誘った、④不倫が長期間続いていた、⑤今回のことで離婚することになった、などといったものです。
内容証明に書かれている内容を読むと「自分の知っている事実と違う」、「こんなのおかしい、完全に誤解だ!」と言いたくなるかもしれません。その言い分は、今後の減額交渉で出していくことになります。減額交渉(示談)がまとまらず事実に争いが残るなら、最終的には裁判でケリをつけることになります。
内容証明に書いてある請求額から減額するには、裁判をも視野に入れて交渉することが最も重要です。
内容証明に書いてあることは事実とは違う、など多々言い分はあるでしょうが、そればかり言い張っていても交渉はまとまりません。相手方を怒らせるだけです。
内容証明で要求されている金額が飛び抜けて高額だからといって、あなたが自由な意思で示談したら、その示談は有効です。その後示談を無かったことにしてほしいと言っても、後の祭りです(※)。
(※)もっとも、示談書の内容や形式の不備を追及できる可能性もありますので、諦めずに弁護士に相談することをおすすめします。
相手方には、交渉がまとまらなければ訴えるという選択肢があります(もちろん証拠があればですが)。あなたとしては、訴えられたらどうなるかを見越して減額交渉をしていかなければなりません。
一言で言えば、相手方の意図を見抜くことと裁判を意識することです。
内容証明を相手方が送ってきたということは、話合いがまとまらなければ訴えるという意思表示です。あなた自身で頑張って減額交渉しても、もし本当に訴えられた場合には結局弁護士をつけざるをえないでしょう。それなら最初から弁護士に依頼して減額交渉するほうが簡便ですし、精神的にも余裕をもって対処できます。
いかがでしたか?今回は、不倫がバレて交際相手の妻(夫)から内容証明が届いた場合の対処法についてご紹介しました。不安になってしまうのも当然ですが、この手順に従えば不倫慰謝料問題の解決に向けて進めていくことができます。
ぜひ参考にしてみてくださいね!