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エトワール法律事務所 慰謝料

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慰謝料コラム

不利な示談書にサインさせられてしまったときは?

「不倫慰謝料を〇〇〇万円払うという不利な示談書にサインさせられてしまった。なかったことにしてほしい!」というご相談はよくあります。
結論から言えば、諦めずにその示談書を弁護士のところに持っていって相談することをおすすめします。なぜかというと、示談書がそもそも有効ではないといえるケースが非常に多いからです。

この示談書、本当に有効なの?

示談書は、不倫慰謝料を請求している相手方が作って突きつけてくるのがふつうです。その示談書を相手方本人が作っていることも多いのですが、色々な点で抜けがあり「有効ではない」と反論できることも多いです。

また、示談書の取り交わしに、弁護士ではない者が代理人として関与してきた場合にも、相手方への反論材料となります。

ネット上のサンプル示談書を使った

不倫慰謝料問題の示談書のサンプルが、ネット上にいくつか公開されています。公開しているのは探偵業者のサイトだったり行政書士のサイトだったり、色々なところがあるようです。こういったところから相手方が拾ってきて、自分で修正して作ったというケースは非常に多いです。

ところが、作った示談書を実際に弁護士が見てみると、内容自体が不合理であったり抜けていたり、内容以外の形式面が整っていなかったりと、攻撃材料がいくつも出てくることも多いです。そのため、「示談書はそもそも有効ではない」と反論できるケースもよくあります。

 

相手方の自称代理人と示談書を取り交わした

示談書を取り交わすときに相手方本人が出てこないで、代理人に委ねることがあります。このとき、弁護士ではない人物が「代理人」として登場してくる場合も見受けられます。よくあるのは、たとえば不倫慰謝料を支払えという内容証明を書いた行政書士、相手方が浮気調査を依頼した探偵といった人物です(※)。

これらの人物は、業務(サービス)の一環として相手方の示談を代理したわけですので、非弁行為(違法行為)です。だからといって示談書が無効になると即ちに言えるわけではありませんが、有効性に疑いを差し挟むネタにはなります。

(※)認定司法書士は、140万円までの示談なら代理できます。

有効性を争って再示談を

示談書の有効性が怪しいなら、その点を争って、再度きちんとした形で示談することを試みましょう。

弁護士が依頼を受けると、まず相手方との話し合いで、問題点を指摘して示談書を作り直すことが双方のメリットになると説得します。それでも相手方が再示談に応じてこないなら、示談書は無効だと訴訟で争っていきます。弁護士が依頼を受けて交渉すると、多くのケースで再示談が成立しています。

示談書が有効そうな場合

弁護士の目から見て、示談書の内容や形式から見て有効だと判断される場合もあります(たとえば、相手方が弁護士に相談しながら、そのアドバイスに従って示談書をきちんと作ったような場合です)。この場合、なかったことにするのはそう簡単ではありません。

不倫を知った相手方が怒りに任せて高圧的に出てくることはよくありますし、「口調が怖かったのでサインしてしまいました」というケースもよくあります。しかし、その程度で示談書がなかったことにはなりません。

不利な示談書でもサインした以上、内容を守る義務があるのが原則です。

法律的には、一度約束したことは守らなければなりません。「相手のいう不倫慰謝料を一度は払おうと思って示談書にサインした。でもやっぱり払いたくなくなったので無効にしたい」というのは、通用しません。

示談書はどんな場合に無効にできる?

示談書が内容的にも形式的にも有効そうでも、無効にできることはあります。もっとも、かなり限られた場合です。

自由意思で約束したのではない場合

ただ単に「不倫慰謝料を支払うつもりは本当はなかった、その場を逃れたいだけだった」というだけで、裁判で示談書の無効を認めてもらうことはまず無理です(当然ですが)。

約束に縛られるのは、自由な意思でその約束をしたから

これが大原則です。そのため、示談書を交わす際に(こちらに落ち度なく)極めて重大な誤解があったような場合とか、相手方の悪質な行為によってサインさせられたような場合は、「自由な意思で約束したものではない」と主張して、裁判で有効性を争うことが考えられます。

とはいえ、例えば「部屋に閉じ込められ何時間も不倫について詰問された。示談書にサインするまで帰さないと脅されてサインせざるを得なかった」というように、それなりの重大な事情があったことを証明することが必要となります。

示談書を無効にしてもらうためには?

内容も形式も問題なさそうな(有効そうな)示談書を取り交わしている場合、相手方が話し合いで示談書の無効を認めることはあまり考えにくいです。そうすると、裁判で示談書が無効だと争うことになります。

もっとも、ちょっとやそっとのことで無効になるのであれば示談契約をする意味が無くなってしまいます。そのため、先に述べたようにそれなりの事情(「確かにこのような事情があれば、本人の意思でサインしたとは言えない」と裁判所が思ってくれる事情)がないと、裁判で無効を認めてもらうことは困難です。ただ、相手も裁判まではしたくないと思っている場合は、示談書の作り直しに応じてくれる可能性もゼロではないかもしれません。

まとめ

不利な示談書を作ってしまったとしても、すぐに諦める必要はありません。そもそもその示談書が有効といえるか、疑問があることも非常に多いからです。

そのため、その示談書を弁護士のところに実際に持っていって、内容・形式を見てもらうことをおすすめします。その結果有効性に疑義があるのなら、再示談に向けて交渉していくべきです。弁護士が示談書の問題点を的確に突いて交渉していくと、再示談できるケースも多いです。

もっとも、最も望ましいのは、示談書を作る前、もっと言えば不倫慰謝料を請求された時点ですぐ弁護士に相談することです。

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