解決事例
女性
20代
子ども:なし
担当弁護士:稲森 暁子
婚姻して間もなく夫婦間のコミュニケーションがなくなり,性交渉もなくなったため,ご相談者から今後の婚姻関係のあり方を話し合おうとしたり,子どもを持ちたいという希望を伝えたりしましたが,夫はあまりまともに取り合いませんでした。それでも結婚式の準備は熱心にしていたため,今後夫の態度も変わるのではないかという期待を持っていましたが,結婚式後も特に状況は変わりませんでした。
入籍して1年もたたないうちに夫がご相談者やご相談者との関係に興味を失っていることを感じ,ご相談者も夫に対して期待を持てなくなり,関係は悪化する一方でした。そのため,ご相談者は夫が家にいる夜間や休日に仕事の予定を入れて家で極力夫と顔を合わせないようにするようになりました。
ある時,夫とご相談者の休みが重なってしまい,家に居づらかったご相談者が友人男性宅で一晩過ごさせてもらったところ,それ以前から夜家に余り帰ってこないことを不審に思っていた夫が雇っていた探偵に写真を撮られてしまいました。
離婚については双方争いがなかったのですが,夫から不貞の慰謝料やその他離婚に伴い生じた損害という名目で金銭請求されているということでご相談に来られました。
夫側から財産分与・慰謝料等を併せて600万円の請求をされていたところ,200万円にまで減額し,友人男性への請求を別途しない約束も取り付けて協議離婚が成立しました。
慰謝料部分の請求については,実際には争う余地もありましたが,早期解決や友人男性を巻き込みたくないというご相談者の希望を優先する形で進めました。当初夫は友人男性への請求も考えており,独自で調査を進めていたようでしたが,最初から相応の金額を提示することで夫に友人男性への請求を諦めてもらい,最終的に今後請求しない旨の約束を取り付けました。
夫からの慰謝料以外の請求の内訳には離婚の際の清算に含まれない費用も多数含まれており,交渉を通じて夫側が請求を取り下げる形での解決となりました。
相談内容と弁護士対応
事情をお伺いしたところ,友人男性とは不貞関係にはないということでしたが,夫の請求を減額しつつ友人男性には迷惑をかけずに夫との間で全て解決したいということでご依頼になりました。
交渉を開始してすぐに夫にも弁護士がつき,代理人間で協議を行いました。夫側からは当初慰謝料300万円,その他婚姻関係解消に伴う損害の補填として300万円の合計600万円を請求されました。
婚姻が破綻した原因は夫が婚姻関係を良好に保つ努力をしてこなかったという事情があったのですが,ご相談者も独身男性が一人で暮らす家に一晩中2人きりでいたことは確かに不適切な行為であるという認識があったため,解決金を幾らか支払う前提での交渉になりました。
不貞関係にはないものの,仮に訴訟にまでなった際に裁判所が夫側から開示された証拠に基づいてご相談者にとっては厳しい事実認定をする可能性もあったこと,ご相談者が夫から友人男性への請求を阻止したいという強い希望をお持ちであったことから,不貞慰謝料に近い金額を提示することになりました。