離婚コラム
「交際相手の妻(夫)が怒鳴り込んできた」「弁護士名で内容証明が届き、不倫慰謝料500万円を2週間以内に支払えと書いてあった」
既婚者とのスリリングな交際を愉しんでいたのもつかの間、「不倫の代償」という現実を突然突きつけられてしまいました。思わず目の前が真っ暗になってしまいますが、どうしたらいいのでしょうか?
「相手方の剣幕に押されて、言われるがまま300万円を支払う内容の示談書にサインしてしまいました」という方もいらっしゃいます。しかし、いったん自由な意思で示談書にサインしてしまうと、その内容に不満があるからといって後から争うのは非常に面倒になります。たとえ面倒でも内容をひっくり返せるのならまだいいですが、時間と費用をかけて裁判で争ってもどうにもならなかったという最悪の結果もありえます(不利な示談書についてのリンク先のコラムもご参照ください)。
特に相手方に弁護士が付いている場合、請求を無視して放っておくと、訴えられてしまう可能性が高くなります。相手方が「あなたの住所は知らないが、職場を知っている」という状況だと、訴状が職場に届いてしまう可能性もあります。また、請求を無視することで「誠意がない」と相手方本人を激怒させ、解決が遠のくことにもなりかねません。
もっとも、一旦事実を認めたら後で「なかった」とは言えなくなりますので、何をどこまで認めるのかといった点はよく事前に検討すべきです。それでなくても後になって「どこまで認めたのか」がお互いに食い違うことはよくあることですし、不安があればこの時点で弁護士に相談すべきです。
交渉の主導権はあくまで相手方にあります。極端な話、例えばあなたが500万円までも支払うつもりがあっても、「1千万円払わなければ訴える」という態度を相手方が崩さない場合には、交渉をまとめることはできません。
そのことを踏まえた上でですが、あなたとしては何を優先するのかを決めておく必要があります。たとえば、裁判でとことん争ってでも請求金額を下げることを最大の目標にするのか、あるいは訴えられないことを最優先するのか、ということです。
メインは示談金額についての交渉ですが、「払えないので勘弁してください」というだけで交渉がまとまるなら、誰も苦労はしません。
請求額を減額して話をまとめたいなら、あなたのケースではどのような事実関係であったのか、どのような証拠を押さえられていそうなのか、仮に裁判となった場合にどれくらいの金額が認められる可能性があるのか、といった点についての見通しを持っておく必要があります。そのような見通しを踏まえた金額を提案することで、「費用と時間を掛けて裁判にするより、交渉に応じた方がいいかもしれない」と相手方が考える可能性が出てくるのです。
また、金額交渉とは別の問題として、たとえば相手方が職場の上司に不倫の事実を言いふらすなど不適切な行動をしているなら、それを止めるよう交渉・警告することも必要になってきます(参考:「不貞行為を職場にばらすと脅迫されたら?」)。
不倫がバレて相手方から連絡が入るとそれだけで大変だ!と慌てるのがふつうです。落ち着いて対応するのは土台無理な話で、身内や会社にバラされたらどうしよう・・というような心配で頭の中がいっぱいになってしまいます。
しかし、弁護士が依頼を受けると、あなたに直接連絡しないよう相手方に通知します。ほとんどの場合、あなたへの連絡はこれでストップしますので、落ち着きを取り戻すことができます。
弁護士は、事実関係と、あなたが何を優先するのかという希望を踏まえて、相手方との交渉に臨みます。相手方の要求が過大であることもよくありますので、不当な内容にならないように交渉していきます。
弁護士は裁判での相場も熟知していますので、たとえば「この事実関係に基づくと裁判で認められるのは▲▲円くらいですよ。もし裁判前に話し合いに応じてくれるなら●●円を払いますが、どうですか?」といったように、交渉をするわけです。
それでも相手方が不当な請求を取り下げない場合には、訴訟という手段も駆使しながら、弁護士はとことん闘います。
「そうはいっても、お金を払って依頼しても仮に請求額を減額できなかったらどうしよう」と心配されるお気持ちはごもっともです。
そもそも請求額が妥当な金額であることはほとんどなく、減額できる可能性の方が大きいのが実際のところです。
もちろん、相手方がそれなりに妥当な金額を請求してきている場合もなくはないです。しかしその場合でも、たとえば金額以外に変な約束をしてしまって後々の行動が制限されてしまうなどの可能性もあります。そのような落とし穴にはまらないかどうかも、弁護士はチェックしています。今回請求されたことについてはきっちりとカタをつけ、示談後に禍根を残さないよう、気を付けているのです。
先に述べたとおり、弁護士をつけると相手方との交渉などをほぼ一任することができますので、落ち着きを取り戻すことができます。実際にあったケースですが、毎日深夜に立て続けにLINEで連絡してこられたために精神的に参ってしまったという方もいらっしゃいました。請求額の減額以前に、そのような状況から抜け出せたのが一番ありがたかったという声も多いです。
弁護士に相談したからといって依頼をしないといけないわけではありません。まずは今後の見通しを相談して、対応策を練ることをお勧めします。不倫の慰謝料を請求された場合についてはリンク先もご参照ください。
あわせて、これまでの解決事例についてもご覧ください(請求額700万円超→50万円に減額した事例。