離婚コラム
「夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。ただし、第三者の権利を害することはできない。」(民法754条)
趣旨としては、一方配偶者が他方からの不当な圧力で不利な契約を強いられる可能性があること、夫婦間の約束は夫婦間の愛情で解決すべきこと、が一般に挙げられています。上記のように民法の規定では、夫婦間の契約は婚姻中ならいつでも取り消すことができる、ということになっています。しかし実際には、最高裁判例によって、取り消せる時期に制限が加えられています。
「民法七五四条にいう「婚姻中」とは、単に形式的に婚姻が継続していることではなく、形式的にも、実質的にもそれが継続していることをいうものと解すべきであるから、婚姻が実質的に破綻している場合には、それが形式的に継続しているとしても、同条の規定により、夫婦間の契約を取り消すことは許されないものと解するのが相当である。」
夫婦間の契約取消権が問題になるのは、婚姻関係破綻後のことです(円満な状態なら、そもそも取消権は問題になりません)。破綻後の取消を上記最高裁判例が認めませんでしたので、754条は空文化したとも評価されています。