解決事例
女性
30代
子ども:3人以上
担当弁護士:稲森 暁子
ご相談者と夫はそれぞれ前婚の子を連れて再婚しましたが,夫は婚姻すると自分の子どもの世話をご相談者に押し付け,自分の収入は家計に入れないばかりか,自分の小遣いをご相談者に求めたり自分が欲しいものを買わせたりと,問題が徐々に明らかになっていきました。ご相談者に対する暴言や暴力的な行動を繰り返していただけではなく,ご相談者の実子に対する虐待の事実があることが発覚したため,ご相談者は夫との生活を続けることに困難を感じ,離婚を切り出しました。
すると夫はご相談者とその実子に家を出るよう強硬に求めたため,ご相談者は離婚には応じてもらえるものと思い,子どもを連れて別居しました。しかしその後ご相談者が具体的な離婚条件についての話を持ち掛けると,夫はご相談者に対していつ家に戻ってくるのかと度々連絡してくるようになり,ご相談者は夫の不可解な態度に振り回されて精神的に追い詰められていきました。
ご相談者はこのまま夫と1対1で話し合いを続けるのが難しいと感じられ,ご相談に来られました。
調停期日において,夫は調停委員の前では物わかりの良い人物を演じていたようですが,事実をかなり誇張して語り,ご相談者に問題があるかのようなストーリーを作り上げて慰謝料請求もちらつかせるような言動をしていました。しかし,ご相談者が主張する事実に何一つ合理的な理由を説明できなかったこともあったのか,夫側の主張ではなくご相談者が主張する事実を前提に淡々と調停が進められ,ご相談者と夫の間の実子の養育費を取り決めて調停で離婚を成立させることができました。
配偶者本人やその代理人にはまともな対応をしない人物でも,第三者に対して一方的に自分の非を明らかにされることは回避したがることが多く,本件でも調停を申し立てることで夫を交渉のテーブルにつかせ,早期離婚に持ち込むことができました。
調停は事実の真偽をはっきりさせる手続きではありませんが,本件では調停委員が夫の虚実取り交ぜた話には距離を置き,なおかつ夫の感情を逆なでしないよううまくコントロールして的確に手続きを進行させられたことも早期解決につながったと思われます。
相談内容と弁護士対応
婚姻期間が短く,それに比べて別居の期間も長くなり始めていたため,相手方が仮に離婚を争ったとしても離婚請求が認められる可能性があったため,まずは任意交渉を試み,応答がなかったり離婚拒否の回答があったりした場合には,訴訟も視野に入れて調停を申し立てることになりました。
ご依頼後,夫に連絡したものの一切応答がなかったため,婚姻費用分担調停と離婚調停を申し立てることになりました。期日までの間,夫から何の応答もなかったものの,当日裁判所に現れ,離婚に向けた話し合いを始めることになりました。